民泊新法が制定されるなど、民泊ビジネスが盛り上がりを見せる昨今。
そんな中、「何から始めたらいいのか分からない」「自分じゃできそうにない」と民泊運営を諦めてしまう人も多いのではないでしょうか。
そんな時活躍するのが民泊運用代行業者。
代行業者は適切な立地と物件を見極め、運営前のサポートをしてくれるほか、外国人ゲストへの対応や鍵の受け渡しなど運営中のサポートも行ってくれます。
そこで今回はそんな民泊運営代行業者の役割を紹介するとともに、そのデメリットも取り上げていきます。
これから民泊を始めてみようと思っている方は参考にしてみてくださいね。
民泊運用代行業者の役割
コンサルティング
民泊を始めたい、と思っても何から始めていいのか分からないのが実情。
しかし民泊運用代行業者に委託することで、民泊を始めるための全てを代わりに行ってくれます。
まずひとつに物件探し。
近年、民泊をゼロから始めようとするホストのほとんどは物件探しを代行業者に依頼しています。
ホテルや旅館と変わらず、民泊も立地のビジネス。
初めてホテル経営に合理的な技術を導入した、アメリカのホテル経営者であるスタットラーの言葉に「一に立地、二に立地、三にも立地」という名言があります。
これは業界でも有名なホテル業成功の秘訣。
民泊を成功させるには、各地域の需要についてリサーチをする必要があるのです。
また、そもそも民泊利用を許可している賃貸物件は多くなく、自分では見つけにくい、交渉が大変という実情があります。
そのため、民泊ビジネスが隆盛している昨今では代行業者と不動産が結託しているケースも多く見受けられます。
不動産側は民泊としての利用を許可する代わりに敷金礼金、家賃などを通常より高くしているようです。
さらに、物件探しを行なっている業者はその後のコンサルティングもサービスに含めているところが多いです。
新規物件の場合、収益性があるか、初期費用がどれくらいかかるかなどを計算してくれるほか、収益が上がらないなどの問題を抱えている既存の物件には改善コンサルティングを実施しています。
尚、コンサルティングの料金は15〜20万円が相場。
「無料」と謳っている企業も多く存在しますが、その場合業務代行サービスとの契約が必須だったりと何かしら罠が潜んでいるので注意が必要です。
Webの写真撮影やハウスマニュアルの作成
Webの写真撮影を代行で行ってくれる業者も存在します。
宿泊手段仲介会社であるAirbnbに依頼すると手数料なしで撮影をしてくれますが、依頼から出来上がるまでかなり時間がかかるのが実情。
そのため、写真撮影を代行業者に依頼する人も少なくありません。
代行業者に依頼することで、ライティングや広角レンズをうまく使った綺麗な写真を撮ってもらうことができます。
民泊を選ぶ際、重要なポイントとなるのがその家の雰囲気。
綺麗な写真で民泊の雰囲気を魅力的に伝えられたらゲストも増えることでしょう。
ただし、あまりにも綺麗すぎる写真であった場合、民泊の人情さなどを大事にしているゲストからは敬遠される傾向があります。
ある程度素人感の残った写真の方が民泊ならではの魅力が伝わるのかもしれません。
また、ハウスマニュアルも代行業者が作成してくれます。
ハウスマニュアルとはルールブックのことで、部屋や設備の使い方などをマニュアル化し、小冊子などにしてゲストに提供しています。
「何を書いたらいいのか分からない」という場合代行業者に任せても良いですが、ハウスマニュアルに関しては物件の持ち主であるホストが考えた方が後々のトラブルが起きづらくなります。
「うちでは喫煙しないでほしい」「洗濯機は◯時以降使用しないでほしい」などなど。
ただ、代行業者は多国語に対応している企業がほとんどなので、英語や中国語など日本語以外のマニュアルを作成したい場合は代行業者が手っ取り早いかもしれません。
尚、ハウスマニュアル作成の代行代金は2万円程度が相場です。
問い合わせやトラブルへの対応
民泊でゲストを迎え入れる際絶対に起きてくるのが問い合わせ。
ホテルや旅館とは異なり、ホストがゲストと直接のやりとりをして予定を組むことがほとんど。
「深夜のチェックインでも構いませんか?」「チェックアウトは◯時になります」「少し遅れます」「〇〇はありますか?」などなど。
少ない場合は2〜3通で済みますが、多くなるとそのやり取りは10数件にも及びます。
素早く返信しないと評価が下がってしまうほか、ゲストが他の物件に流れてしまうことも少なくありません。
在住型民泊なら自力での対応が可能ですが、副業がてらに行っている人や多忙な人は代行業者に任せてみるのもありかもしれません。
また、問い合わせを代行業者に任せるメリットとしてもうひとつ挙げられるのが、外国人ゲストへの対応。
ゲストが外国人であった場合そのやり取りはさらに大変になってきます。
ここで活躍するのが代行業者。
近年は英語だけでなく、中国語やフランス語、韓国語など、少なくても3ヶ国語、多くて8ヶ国語に対応する企業が存在します。
さらに、代行業者はクレーム処理を肩代わりしてくれます。
想定されるトラブルとしては、騒音による近隣トラブルや、ゴミの不法放棄、禁止場所での喫煙など。
家主不在型ホストの場合、こういったトラブルの際すぐに飛んでいくのは難しいだけでなく、トラブルへの対応にも困惑してしまうことが多いです。
しかし代行業者に予め依頼をしておくことで、トラブルが起きても対応のノウハウをしっかり持っているプロが手早く穏便に解決してくれます。
尚、問い合わせ対応の代行代金は月額売り上げ金額の10%に設定しているところが多いです。
鍵の受け渡しや掃除
家主不在型ホストの場合、鍵の受け渡しに一々立ち会わなくてはいけないのがネック。
しかし、鍵の受け渡しを代わりに行ってくれる業者も存在します。
以前は鍵をポストなどに入れておくことが可能でしたが、ルール改正により直接の手渡しが必要になりました。
こちらのサービスはホームステイ型ホストには必要のないサービスと言えます。
仮に買い物などで家を開ける時間があったとしても、時前にチェックイン・チェックアウトの時間を決めておくことですれ違いにならずに済みます。
また、鍵の受け渡しとセットで掃除を行っている代行業者も少なくありません。
民泊新法に基づいて民泊投資をする場合、ホームステイ型である場合を除き、民泊管理会社の清掃代行を利用することが必須であるからです。
民泊の場合毎週のように人が入れ替わるため、その度に部屋全体の掃除をし、シーツを取り替え、綺麗な状態を保たなければいけません。
室内の清潔感はゲストに与える印象がとても強く、掃除が行き届いていなかった場合悪い口コミにつながる可能性があります。
尚、清掃代行の相場は3〜5000円程度。
業者によってどこまで掃除をしてくれるかが異なるので、時前にサービス内容をチェックしておくことが大切です。
民泊運用代行業者のデメリット
コストがかかる
民泊運用代行業者を利用する際一番に気になるのがそのコスト。
委託内容にもよりますが、代行業者の利用料金は売上金の18〜30%に設定しているところがほとんど。
仮に月10万円の売り上げがあった場合、2〜3万円は代行業者への支払いとして消えていくのです。
それ以外にも民泊サイトに支払うマージンや家賃、光熱費も発生しますので、売り上げの4割程度は経費として使われることを忘れてはいけません。
よく民泊のセミナー本などでは「民泊ビジネスで年収200万円!」なんて宣伝を見かけますが、その概算は稼働率100%且つ代行業者に何も委託しない場合の数字です。
民泊ビジネスの実情は50%稼働がいいところ。
稼働率が50%だった場合、100万円の収益になりますがそこから経費の4割を引くと40万円。
つまり月3万円程度の収入にしかなりません。
さらに最悪なことに、民泊を始める際には入居費用や家具の設置など初期費用がかかります。
その相場は100万円程度。
100万円回収するためには3万円の回収が33回以上必要。
ですから安定した稼働率を保ちつつ、3年程度民泊を運営できなければ確実に赤字計算となるのです。
ゲストからの反応が良くない
民泊運用代行業者の利用した場合、ゲストの反応があまりよくありません。
そもそも民泊に進んで泊まる人の中にはコミュニケーションを目的の一つとしている人も少なくないのです。
そのため、代行業者による対応の味気無さや不信感を感じ取った場合、がっかりしてしまうようです。
また、問い合わせと直接のやり取りのテンションにギャップがあった時にもゲストは騙された気分になり、首を傾げてしまいます。
問い合わせ担当者、鍵の受け渡しをそれぞれ違う業者にしていた場合、こういったケースは起こりやすいと言えます。
まとめ
物件の選定、ハウスマニュアルの作成、ゲストへの対応や掃除など、民泊に関するほとんど全ての業務を請け負ってくれる民泊運営代行業者。
代行業者をうまく利用することで自分の負担を軽減できるほか、外国のゲストなども受け入れやすくなるというメリットがあります。
そんな代行業者ですが、委託内容によってはコストがかかりすぎるのも事実。
代行業者に頼りすぎると何年も運営しなければ経費を回収できなくなってしまうのです。
これから民泊を始めようと思っている方は今回の記事を参考に、自分に必要な代行業務は何なのか慎重に考えてみてくださいね。