2018年に制定された、民泊新法(住宅宿泊事業法)。都道府県知事への届出を行うことで、営業する許可がおりる事から、より民泊経営が身近なものとなりました。
しかし、住宅宿泊事業法による開業のデメリットとして、年間180日以内の営業ルールがあげられます。
この記事では、なぜ180日の営業ルールが設けられたのか。180日を超えた営業をすると、どんな罰則を受けるかなど、これから民泊経営を考えている方にとって、有益な情報となると思います。
ぜひ最後まで、お読みください。
住宅宿泊事業法(民泊新法) 180日ルールが設けられた背景
住宅宿泊事業法(民泊新法)が制定された背景として、日本へ渡航したい海外ゲストの増加していた事です。
これにより海外ゲストが安価に泊まれる民泊が注目され、民泊の数も増え続けていきました。
それにって、無許可営業を行う事業者もが多く、厚生労働省が2016年に行なった調査によると、許可を得ている民泊物件は20%にも届かない結果となっていたのです。
海外ゲストが多い事からも、安全面・衛生面の確保が必須であった事。ゴミ出しや騒音などにより、近隣住民とのトラブルが多く発生したため、ルール化をはかる必要がありました。
また、ホテル・旅館業を営む経営者からの宿泊者の需要の低下を危惧する声が高まったこともあげられます。
安価な民泊そのものを認めたくないホテル・旅館業者、海外からのインバウンド需要のよる民泊の経済効果を考慮し、お互いの経営を阻害しないルールとして、180日の宿泊制限ルールが設けられました。
180日営業ルールに違反した時の罰則は?
180日を超えた民泊経営を行うことで、住宅宿泊事業法での罰則はありません。
しかし、180を超える営業は旅館業法に該当し、旅館業法違反にあたり、6か月以上の懲役もしくは3万円以下の罰金が科されます。
また、都道府県知事への定期報告をする上で、虚偽の宿泊日数を報告した場合は、6ヶ月以上の懲役もしは100万円以下の罰金となります。
180日営業ルールの打開策とは?
では、180日営業のルールを超えた営業をする打開策はあるのでしょうか? 具体的な対策は以下の通りです。
- レンタルスペースとしての活用(会議・学習スペース・イベント会場など)
- マンスリーマンションとして貸し出す
- 土日祝、正月・お盆時期などの繁忙期のみの経営
- 旅館業法の認可を目指す
レンタルスペースとしての活用
都心を中心としたサービスとして、空間を提供するレンタルスペースは、稼働率も高めやすい事から、収益性も高めて民泊との併用経営が可能となります。
コロナ渦以前であれば、パーティールームの提供で高い収益性も考えられましたが、現状は難しいようです。また騒音などの問題からも避けた方が良さそうです。
マンスリーオフィスとして会議室を提供したり、学習スペースとして活用すれば、継続性もあり騒音などの問題も解決できますね。
マンスリーマンションとして貸し出す
家具・家電の部屋を提供するマンスリーマンションは、大掛かりな改装などもする事なく、民泊と併用した経営ができます。
国内のビジネスマン向けの企業が利用するマンスリーマンションの需要が高まっている事や、海外からの一時的なインバウンド需要の低下から民泊の利用が低下した事からも、相性が良いと考えられますね。
またマンスリーマンションは、期間の決められた期間を定めた賃貸借契約のため、自動更新される契約となるため、民泊への転用もしやすいのが特徴です。
③土日祝、正月・お盆時期などの繁忙期のみの経営
賃借物件でない、所有物件での民泊経営では、週末のみの経営や、繁忙期時期のみの経営をすることができます。
ゆっくりとした経営となりますが、この営業方法のメリットとしては、本業として民泊経営ができるか、お試しに実践することも可能だからです。
会社勤めのサラリーマンでも、新たな副業形態としても良いかもしれませんね。
④旅館業法の認可を目指す
①〜③の提案を行いましたが、結論は民泊を中心とした経営を考えるならば、旅館業法の許認可を受ける事が、最大の打開策となるでしょう。
社会的な信用も得られ、継続的な経営をする事が可能となるからです。
マンスリーマンションと併用しながら、週末・繁忙期のみの営業をしながら、旅館業法の許認可の手続きをする事も可能です。
まとめ
民泊新法での経営は、180日ルールが設けられていますが、先述した①〜③の打開策を試しながら、その住宅としての経営が、どのタイプが向いているか見極める事ができます。
「レンタルスペースでは収益性高かったけど、週末の民泊利用は少なかったな。」
「民泊だけの経営でも、やっていけそうだ。」
など、民泊経営のデメリットであった180日ルールを、逆にトライアル期間として活用し、しっかりとした経営基盤を築いていきましょう。