宿泊者名簿に記載する『3つの理由』【コロナの影響でより重要に】

宿泊施設にチェックインをする際に、フロントで用紙とペンが用意されて氏名や住所を求められますよね。氏名や電話番号など情報は予約時に送っているのに、二度手間になるので面倒に思う方もいらっしゃるとおもいます。

この記事ではなぜ宿泊者名簿を書く必要があるのかについて紹介します。

 

宿泊者名簿とは

宿泊者名簿とは_イメージ

一言でいうと、宿泊者情報を記した名簿です。

宿泊者名簿は宿泊施設に備え付け、保存が義務づけられており、守られていない場合は罰金が課せられることもあります。

施設担当者または宿泊者自身が、氏名・住所・職業その他の事項を記載します。その他記載事項に、生年月日や宿泊地などの情報の記入を求められることもあります。

外国人宿泊者は国籍やパスポートの旅券番号も必要となります。氏名記載の欄は代表者一名分のみだけではなく、宿泊者全員分の情報を揃えることが必要です。

 

記載事項

次の項目を記載します。

  • 氏名
  • 住所
  • 職業
  • ※国籍
  • ※旅券(パスポート)番号
  • 到着日時
  • 出発日時
  • 年齢及び性別

※国籍と旅券については日本国内に住所を有さない外国人に限ります。

 

記載しないといけない3つの理由

記載しないといけない3つの理由_イメージ

そもそも宿泊施設は旅館業法という法律に基づき、宿泊名簿の記載が義務付けられています。(旅館業法施行規則

【旅館業法(第6条第1項)営業者は、厚生労働省令で定めるところにより旅館業の施設その他の厚生労働省令で定める場所に宿泊者名簿を備え、これに宿泊者の氏名、住所、職業その他の厚生労働省令で定める事項を記載し、都道府県知事の要求があつたときは、これを提出しなければならない】

都道府県知事からの要求があった場合、提出しなければなりません。都道府県知事は構造設備基準又は衛生基準に反するときは改善命令、許可の取り消し又は営業の停止を命ずることができます。

宿泊名簿を書く理由は、主に3つあると思います。

忘れ物があった時に宿泊者と連絡を取る為

伝染病や食中毒などが発生した際の追跡する為 (感染症患者の感染経路を調査するパンデミック対策)

テロや犯罪等の不法行為を未然に防止

政府の国際テロ対策推進本部「テロの未然防止に関する行動計画」において、その実施を求められたもので、 旅館業法では感染症対策公衆衛生とテロ対策治安維持の両面から宿泊者の本人確認を対面で行うことが規定されています。

豆知識

旅館で、宿泊客の住所・氏名・職業を書き込む帳簿を「宿帳(やどちょう)」といいます。

宿帳は江戸時代に存在していたことがわかっています。宿泊した人の身元確認のために記入させていましたが、法律として宿帳が必要とされた背景は終戦後に、感染症が流行した理由があるようです。

 

保存期間と保管方法

宿泊者名簿は、「旅館業における衛生等管理要領」により保管・保存期間が義務付けられており、最低3年は保管しなければなりません。破棄について規定はない為、3年でシュレッダーにする所もあれば保存したままのところもあるようです。

また宿泊者名簿は、 「厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令」第4条1項に基づき、 電磁的記録による保存が可能です。電磁的記録とは、法律で使われるパソコンなどのIT機器によるファイル保存のことです。

必要に応じて、ディスプレイへの表示、プリントアウトが可能な状態であることが求められます。

 

罰則がある

氏名欄や住所欄に偽名を書いた場合

違反者として「拘留又は科料に処する」として罰則を受ける可能性もあります。

第7条の規定による報告をせず若しくは虚偽の報告をし、又は当該職員の検査を拒み、妨げ、忌避し、若しくは質問に対し答弁をせず、 若しくは虚偽の答弁をした者、又は報告をせず虚偽の報告をした者は、50万円以下の罰金に処する。(5千円以下から50万円以下に改正)(第11条)

「拘留」とは、短期間(1日以上30日未満)の身柄拘束をする刑罰で、科料とは、罰金よりも少額の金銭(千円以上1万円未満)を強制徴収する刑罰

宿泊する人は、旅館側から求められた場合

宿泊者は、旅館側から求められた際は氏名・住所・職業を伝えなければならない。

(第6条第2項)宿泊者は、営業者から請求があつたときは、前項に規定する事項を告げなければならない。

 

まとめ

宿泊者名簿の記載等に関して留意点として、「宿泊者に対して宿泊者名簿への正確な記載を働きかけてください。」、「警察官からその職場上宿泊者名簿の閲覧請求があった場合には、捜査関係事項照会書の交付の有無にかかわらず、当該職務の目的に必要な範囲でご協力願います。

この場合、個人情報保護に関する法律(平成15年法律第57号)第23条第1項第4号に該当し、本人の同意を得る必要はないとされています。)」(平成26年12月19日付け健衛発1219第2号厚生労働省健康局生活衛生課長通知)、(平成16年1月13日付け健発第0113004号厚生労働省健康局長通知)などといったきちんと決まりがあります。

守らない場合は、罰則を受けてしまう場合があり、宿泊施設側は特に、宿泊する側もなぜ宿泊名簿を書く必要があるのか理由を頭の片隅に覚えておくといいと思います。