【業務効率化のすすめ】ホテル・宿泊業のマルチタスク化

ホテル・旅館業などの宿泊業は、休みなく稼働しているイメージがありますよね。人手不足というわれている業界の1つですが、業務内容は幅広いです。

業務とスタッフの配置を縦割りで行っているケースが多いのも原因の1つで、あるスタッフはフロントのみ行う、あるスタッフは清掃のみを行うということがあります。業務をマルチタスク化する=1人の人が複数の業務を行うことができれば残業が減ったり、待ち時間が減ったり、少ないスタッフでも運用ができるなど生産性につながるかもしれません。

この記事では宿泊業のマルチタスク化についていくつか実例を用いてご紹介します。

 

マルチタスクとは

マルチタスクとは_イメージ

複数の作業を同時にもしくは短期間に並行して切り替えながら実行することをいいます。同時に複数の仕事をこなすというマルチタスク化ができれば時間短縮になり、さまざまな仕事を行うことができるので仕事全体がはかどります

メリットとしては、一度に複数の仕事ができる、作業効率があがる、副業など始められやすいこと。デメリットとしては、集中力が続かなかったり、達成感が得られなかったり、複数の作業を同時に行うことでかえって時間を使いストレスが生じてしまったりする。結果的にスピードが遅くなるということもありえます。

 

宿泊業のICT化等による生産性向上

厚生労働省が作成した「生活衛生関係営業の生産性向上を図るためのマニュアル」によると旅館・ホテル事業者に対するアンケート調査で「コスト削減・業務効率化」の対策として取り組みたいが、取り組めていないものをみると、小規模旅館では「スマートフォン・タブレット端末の活用」、「ITの活用(作業支援)」が高くなっていることがわかりました。

つぎに消費者の動向をみると特にビジネス客(出張や研修等で利用者)は旅館・ホテルで簡略化または導入していいと考えるサービスに「自動精算」や「朝食セルフサービス」に賛成の方が多いことがわかりました。

宿泊業における改革の取り組み支援の1つとして観光庁が宿泊事業者に対して、タブレットの導入やWi-Fiの整備等に要する費用を支援した事例もあります。

事例①:白地温泉、小西旅館ほかにタブレット端末を導入

多言語翻訳システムを導入した タブレット端末での接客、欧州豪厨房連携型注文システムを導入し た携帯端末での接客といったサービスを提供。

迅速で正確なサービス、時間短縮、注文ミス等の軽減、従業員の労働時間の短縮(1日約20分短縮×30日=10時間/月)などの効果があったようです。

事例②:おごと温泉 湯元館でローラーコンベアによる料理搬送を導入

コンテナに貼られたバーコードにより ローラーコンベアに載せ自動運搬することで、運搬中の食器破損や料理の崩れが低減、従業員の負担・当該部門人員削減(4名→2名)したようです。

事例③:湯田中温泉 あぶらや燈千でマルチタスク化

食事提供等の見直し、フロントが司令塔となり、Webカメラで繁忙部署へ人員をリアルタイムで振り分けを実施。

少ない人数で顧客対応、従業員一人あたりの生産性等上昇した効果があったようです。(労働生産性2.2倍、売上高:2.6倍)

 

宿泊業の生産性向上

宿泊業の生産性向上_イメージ

実際に生産性向上した事例として、京の宿綿善旅館ではフロントと客室係の間で、客室清掃・布団上げ等の業務連絡を電話で行っていたため、フロント接客中は電話にでられないなどの支障があり、非効率でしたが、フロアにタブレット端末を設置、無料通話アプリの「LINE」の機能を活用し、フロントと客室係の連絡の効率化を実現しました。

また従業員によって対応可能な業務にばらつきがあり、繁忙期は特定の従業員に業務が集中していた問題を全従業員に対して、対応可能な業務について評価を行い「スキルアップ」を作成して「見える化」を図ったことにより誰がどの業務をどのレベルでできるかが把握できるようになった。

 

宿泊業の働き方改革

2020年4月「労働時間の上限規制」の中小企業の適用など、働き方改革が各業界で活発化しています。働き方改革とは少子高齢化問題による労働力不足を解消するために実現しなければならない「働き手の増加」、「出生率の上昇」、「労働生産性の向上」を阻む、「長時間労働」、「非正規・正規社員の待遇格差」、「労働人口不足」を改善するための諸施策を総括した言葉です。

宿泊業界でも例外ではなく、業務改善と環境整備の見直しがポイントになるでしょう。メリットでみると経営側としてはサービスの質が向上したり、職場の活性化、有能な人材の確保になるでしょう。従業員としてのメリットはやる気向上やプライベートの時間の充実などにつながることでしょう。

働き方を見直すことは、会社・経営者にとっては「効率的な経営」、働く人は「無理なく、長く働ける」という両方のメリットを実現できるのです。

※出典:厚生労働省「働き方・休み方改善ハンドブック 宿泊業(旅館・ホテル業編)」

例えばサービスの見直し、業務のシステム化、設備導入、無駄な業務の削減など、現状の業務効率化が大切なようです。

 

まとめ

便利なツールが世の中にはたくさんあります。不便なことがあったら、ネットで検索したり、従業員と話し合ったりして不便さを解決してくれる便利ツールをみつけることができるかもしれません。

どこを改善すればマルチタスク化につながるのか業務を見直すことも必要かもしれません。