「民宿」と「民泊」の違いについてご存知でしょうか。
名前は似ていますが、内容を見てみると異なる部分が多くあります。
具体的には、どのような部分に違いがあるのでしょうか?
今回は、民宿と民泊の違いについてご紹介します。
それぞれのメリットやデメリットについてもお伝えしますので、民泊や民宿に興味がある方はぜひ参考にしてみてください。
民宿と民泊の違い
民宿と民泊の違いは、大きく分けて3つあります。
それは、開業方法や初期設備の費用、利用者との関わり方です。
それぞれどのように違うのか、詳しく見てみましょう。
開業方法が違う
民宿と民泊は、開業方法に違いがあります。
それぞれ運営を始めるためには、申請や手続きが必要になりますが、その方法が異なります。
民宿は、旅館業法に基づいた手続きが必要です。
開業するにあたって、各都道府県知事の許可を得る必要があります。
旅館業法は営業種別が4種ありますが、民宿は簡易宿所営業に該当します。
そのため、旅館業法の簡易宿所営業の許可を取得する必要があり、建築基準法や消防法など様々な手続きが必要です。
一方、民泊は開業するにあたって3つの方法から選択し、申請や手続きをおこないます。
旅館業法・特区民泊法・新民泊法のいずれかを選択し、条件を満たしたうえで手続きをおこなうと運営が可能です。
新民泊法は、比較的他の法律より早く運営をスタートすることができます。
よって、民宿よりも手続きが簡単であると言えます。
設備投資の負担が異なる
民宿と民泊は、投資設備の負担が異なります。
上記で述べたように、開業方法が異なるため、該当する法律に基づいた設備を揃える必要があります。
旅館業法に該当する民宿は、設備に関する規定も細かくあるため、改修が必要な場合も多いです。
それに比べて、民泊はベッドや浴室など宿泊者にとって必要最低限の設備を揃えていれば、民泊の法律の基準を満たすことができるため、費用を抑えることができます。
よって、必要な設備を維持していく費用も異なってくるでしょう。
利用者との関わり方が異なる
民宿と民泊は、運営方法にも違いが見られます。
一般的に民宿は、オーナーが滞在しており、利用者に対して食事やその土地での農業や漁業体験などを直接もてなします。
民泊は、一軒家やマンションの一室などを利用者に有料で貸し出す運営方法となっており、常時オーナーが滞在する必要はありません。
食事なども直接提供する必要はありませんので、チェックインからチェックアウトまで全く利用者と合わない場合も多くあります。
民宿のメリット・デメリット
民宿を運営するにあたっての、メリットとデメリットについてご紹介します。
メリット:営業日数の上限がない
民宿は、旅館業法に該当する宿泊施設であるため、営業日数の上限がありません。
そのため、1年中運営することができます。
民泊は申請や手続きの容易さから、新民泊法を選択する方が多いです。
しかし、新民泊法にはデメリットがあり、営業日数の上限が180日までと定められています。
旅館業法はその定めがありませんので、民宿を運営するオーナーは営業日数の上限を気にする必要はありません。
デメリット:稼働率が維持しにくい
民宿のデメリットとして、稼働率を維持することが難しいということが挙げられます。
その理由は、民宿をおこなう立地にあります。
民宿施設は、都会から離れた地方にある場合が多いです。
交通の利便性を見ると、都会にあるホテルや旅館、民泊施設の方が集客しやすく稼働率も高くなります。
民宿をおこなう立地から、集客が難しく高い稼働率を維持することが容易ではありません。
民泊のメリット・デメリット
民泊を運営するにあたっての、メリットとデメリットについてご紹介します。
メリット:空き家や空き部屋を活用できる
民泊を運営するにあたり、空き家や空き部屋を有効活用することができます。
空き家や空き部屋を抱えていると、維持するために費用が掛かってしまい、年数が経つにつれ負担が大きくなってしまいます。
しかし、その空き家や空き部屋を民泊施設として提供することで、収入を得ることができます。
空き家問題は、日本にとっても深刻な問題であり、これを解決できる方法の1つが民泊です。
利用していない家を壊して更地にするにも費用が必要であり、なかなか踏み出せない所有者も多くいます。
そこで、民泊施設として生まれ変わらせることで、家を壊す必要がなくなります。
副収入を得ながら家や部屋を維持できるため、所有者にとってメリットが大きいです。
デメリット:1泊あたりの収入が低い
民泊は、1泊あたりの料金が安く設定されていることが多く、高収入を得るためには工夫が必要です。
Airbnbや民泊予約サイトで利用料金を確認してみても、格安を売りとする施設が多くあります。
宿泊人数が少ない場合は、それだけ得られる収入も低くなります。
ホテルや旅館に比べても低単価で提供している施設が多いため、そのなかで利用料金を高く設定しても集客は難しいでしょう。
まとめ
民宿と民泊の大きな違いは、開業方法や設備投資の負担、利用者の関わり方にあります。それぞれ該当する法律が異なるため、その条件を満たすために必要な設備や費用が変わります。
また、民宿は直接おもてなしをしますが、民泊は常時オーナーが滞在する必要はありません。このように、細かい部分が異なるため、メリットやデメリットも違います。
それぞれの良さがあり、デメリットをカバーするためには工夫が必要です。立地やオーナーの希望によって、どちらが適しているかが変わってくるでしょう。