ワーケーションとは、「work(仕事)」と「vacation(休暇)」の造語で、いつものオフィスではなくリゾート地や観光地等に拠点を置き、リモートで仕事をするという新しい働き方です。
働き方改革により、多くの企業がこの新しい働き方である「ワーケーション」の導入を進めています。
しかし、ワーケーションを導入することで、どのような効果があるのでしょうか?
今回は、ワーケーション導入企業事例や導入による効果についてご紹介します。
ワーケーションを導入する企業事例
導入するに至った経緯や取り組み方、効果を知るには、実際にワーケーション制度を導入する企業事例を参考にすることが重要です。
こちらでは、ワーケーション制度を導入する企業を3社ご紹介します。
日本航空株式会社
早くから積極的に働き方改革を行っていた日本航空株式会社は、部門によってアンバランスであった有給休暇取得率を解消すべく、2017年から「休暇型」のワーケーション制度を導入しています。
導入により、休暇取得中にテレワークが可能になったため、長期休暇を取得する抵抗感や休暇後の業務量増加に対する不安等が軽減されています。
有給休暇を活用したリゾート地や観光地でのワーケーションスタイルであり、あくまでも休暇目的という位置付けです。
そのため、ワーケーションを利用する社員に対して、始業・終業時間の報告の義務を設け、勤怠管理システムを活用するなど休暇の時間を多く確保できるための工夫を実施しています。
導入当初よりも利用する社員が増員しており、2020年度は2割以上がワーケーションを利用しています。
ユニリーバ・ジャパン
ユニリーバ・ジャパンでは、2016年7月より「WAA(ワー)」というスタイルでワーケーション制度を導入しています。
ユニリーバの「WAA(ワー)」とは、「Work from Anywhere and Anytime」の頭文字からなるもので、働く場所や時間を自由に選択できるという働き方になります。
現在の実施率はほぼ100%となっており、多くの社員が新しい働き方を実施しています。
実際にWAAを利用したユニリーバ・ジャパンの社員は、「余計なストレスが軽減した」「より仕事への意欲が高まった」といった効果を実感しており、仕事のモチベーション向上効果も高いようです。
さらに、ユニリーバ・ジャパンでは、自治体と連携した「地域 de WAA」に取り組み、地域活性化や地域創生に注力しています。
自治体指定の地域課題を解決するために活動を行うと、宿泊費用が無料になります。
他にも、提携自治体の施設をワーキングスペースとして無料で利用でき、業務外に地域のイベント等に参加することも可能です。
株式会社野村総合研究所(NRI)
株式会社野村総合研究所では、2017年からワーケーションの取り組みを実施しています。
「三好キャンプ」という徳島県三好市にある古民家を利用して、平日は業務を行い週末は休暇を取るというスタイルを導入しています。
このようなワーケーションスタイルを導入する目的としては、社員の業務へのモチベーション向上やイノベーション創出のためです。
地方でワーケーションを実施することで、地域の方との深い繋がりが生まれます。
企業にとっても地域の方にとっても大きな刺激となり、企業価値の向上や地域活性化などあらゆる効果に期待できます。
【企業】ワーケーション導入による効果
ワーケーションを導入する企業には、多くの効果が見られます。
こちらでは、ワーケーション導入による企業側の効果についてご紹介します。
有給休暇の取得促進
2019年厚生労働省は、「年次有給休暇の計画的付与制度」を定めています。
これにより、企業は社員の有給休暇取得の促進を推進することが求められるようになりました。
そこで、ワーケーションを導入することで、必然的に有給休暇取得率を高めることが可能となります。
ワーケーション未導入の場合、勤務する時間や場所が限られています。
「他の社員に迷惑がかかるかもしれない」「長期休暇後の業務量増加が不安」というように、有給休暇を取得することに抵抗感がある方も多いでしょう。
しかし、ワーケーションは、有給休暇を活用してリゾート地や観光地で仕事ができるという仕組みであるため、効率良く取得率を高めることができます。
帰属意識の向上
帰属意識の低さは、仕事に対するモチベーション低下に繋がり、離職率も高めてしまいます。
休暇も仕事も楽しむワーケーションを取り入れることで、社員はワークライフバランスが取りやすくなります。
自然と仕事へのモチベーションアップ効果が高まり、帰属意識の向上にも期待できます。
帰属意識が高い人材が増員することで、離職リスクが減り、社員同士の絆も深まるという企業にとって大きなメリットが得られます。
人材確保、流出抑止
ワーケーション導入により、多様な働き方ができるという企業のイメージアップに繋がります。
結果的に、人材確保や流出抑制の効果に期待できます。
ここ数年で、私たちの生活仕様は大きく変わり、テレワークを中心とした働き方が推進されるようになりました。
休暇先で仕事ができるという社員にとって魅力的な部分が大きいため、より優秀な人材を確保しやすくなると考えられます。
【従業員】ワーケーション導入による効果
ワーケーション制度を企業が導入することにより、従業員にも多くのメリットがあります。
こちらでは、ワーケーション導入による従業員側の効果についてご紹介します。
働き方の選択肢の増加
ワーケーションによって、働く場所や時間を個人が自由に選択できるようになります。
働き方の選択肢が広がることで、よりプライベートと仕事の両立が実現しやすいです。
家族旅行を兼ねてワーケーションを利用することも可能であるため、子育て中の方も働きやすさを実感できるでしょう。
人生の変化に応じて、転職や離職という選択肢を選ばずとも長く同じ会社で働き続けることが可能となります。
ストレス軽減・リフレッシュ効果
普段のオフィスではなく、リゾート地や観光地で休暇を楽しみながら仕事ができる働き方によって、社員のストレス軽減に期待できます。
非日常的な環境で過ごすことで、リフレッシュ効果も得られます。
心身ともにリフレッシュできることで、仕事へのモチベーション向上に繋がります。
業務効率の向上
リフレッシュしながら仕事をすることで、業務効率の向上に期待できます。
また、いつもとは違う環境で仕事をするという新鮮な気持ちや刺激によって、新しいアイデアや発想が生まれやすいという効果もあります。
ただし、業務時間と休暇を切り離して過ごせるように、勤怠管理システムの導入や進捗状況の報告など企業側の工夫は必須です。
まとめ
働く場所や時間を個人の自由で選択できる「ワーケーション」は、新しい働き方として多くの企業が導入を進めています。
企業によって、取り組み方は異なりますが、いずれも高い効果が現れているようです。
モチベーションアップや業務効率の向上、有給休暇取得率の促進など企業と従業員の両者にとってメリットとなります。
導入企業を参考に、積極的にワーケーションに取り組んでみましょう。