生活様式が一変したいま、新しい働き方「ワーケーション」に注目が集まっています。
政府の推進もあり、導入する企業も増加傾向にあります。
一方で、ワーケーションについて詳しく理解できていないという方も多いのではないでしょうか。
導入するにあたり、メリットだけでなくデメリットについても把握しておくことが重要です。
今回は、ワーケーションのメリット・デメリット、そしてデメリットの解消方法についてご紹介します。
ワーケーションとは?
ワーケーションとは、ワーク(Work)とバケーション(Vacation)を合わせた造語です。
場所や時間に縛られずに、テレワークをしながら観光地やリゾート地で休暇も取るという働き方のことを意味しています。
観光庁は、ワーケーションを「休暇型」と「業務型」の2つのパターンに分類し、さらに業務型を3つの種類に分類し、計4つのタイプに整理しています。
- 休暇型
- 福利厚生型
- 業務型
- 地域課題解決型
- 合宿型
- サテライトオフィス型
休暇型は、休暇をメインの目的としており、移動費や宿泊費などは個人負担です。
有給休暇の取得を促進のためといった福利厚生を目的として導入するケースが多いため、福利厚生型となります。
業務型は、業務をメインの目的とするワーケーションです。
ワーケーションを通して地域課題の解決策を考える地域課題解決型や、いつものオフィスから離れて会議や研修などを行う合宿型、サテライトオフィスやシェアオフィスを活用してリモートワークを行うサテライトオフィス型に分けられます。
ワーケーションのメリット
ワーケーションを導入すると、企業側にとっても従業員一人ひとりのメンタル面にとっても、大きな効果が得られます。
こちらでは、ワーケーションを導入するメリットについてご紹介します。
仕事に対する満足度がアップする
ワーケーションを取り入れることで、労働者の仕事に対する満足度が上がるということがメリットの一つです。
普段の職場から離れて業務を行うことで、リフレッシュ効果があります。
リフレッシュをしながら仕事ができるという柔軟性のある働き方によって、ストレスが軽減されます。
また、休暇と業務のバランスが取りやすくなるため、離職防止にも繋がるでしょう。
高いスキルを保有する優秀なスタッフが増員し、利益向上に効果が期待できるため、企業側にとっても大きなメリットになります。
生産性やパフォーマンスが向上する
ワーケーションは、仕事と休暇の切り替えが難しいと思われがちですが、限られた時間内で業務を行うことで、より集中力が高まります。
結果的に、生産性やパフォーマンスが向上するといったメリットがあります。
また、観光地やリゾート地など普段とは違う環境で仕事をすることによって、新しいアイデアや発想が生まれるといった効果にも高い期待ができるでしょう。
有給消化率の向上に期待できる
ワーケーション導入により、有給消化率の向上にも期待ができます。
日本の労働者の有給消化率は、世界でワーストクラスです。
「他のスタッフに迷惑がかかる」という有給を取得することのためらいから、有給を使って長期休暇を取りづらいという環境にあります。
しかし、ワーケーションを導入することで、休暇先で仕事をすることが可能となるため、有休消化率が低いという問題を解決できます。
有休消化率が向上することで、働きやすい職場環境が構築されるので、より優秀な人材を確保しやすくなり、企業側にとってもメリットが大きいです。
ワーケーションのデメリット
メリットが大きい一方で、ワーケーションを導入するにあたって、いくつかデメリットも存在します。
こちらでは、ワーケーションを導入する際のデメリットについてご紹介します。
コストがかかる
ワーケーションを導入するにあたり、コストがかかるということがデメリットの一つです。
職場から遠く離れた場所からでも、円滑に業務が行えるように環境整備が必要となります。
ワーケーション導入により、オンライン会議ツールやチャットツールを用いて社員同士のコミュニケーションを取ることになります。
各ツールの導入も必要となりますので、導入・運用に費用がかかってしまうことが想定されます。
すでに、ワーケーションに活用できるシステムを導入済みであればそれほど問題はありませんが、一から設備を整えるとなるとコストが膨大になってしまう可能性があるでしょう。
セキュリティ面のリスクが高まる
場所にとらわれずに好きな環境で仕事ができるというメリットがある一方で、ワーケーション導入はセキュリティ面のリスクはつきものとなってしまいます。
仕事で用いるパソコンや書類を個人が管理することになります。
パソコンや書類をワーケーションの滞在先で、紛失・盗難に遭う恐れも少なくありません。
また、フリーWi-Fiを使用する場合、通信を盗聴、覗き見される恐れもあるため、セキュリティ対策が求められます。
企業側がセキュリティの対策を実施するだけではなく、ワーケーションを行うスタッフ一人ひとりがリスクと対策の重要性を理解することが大切です。
勤怠管理が困難になる
ワーケーションは、オフィスから遠く離れた場所で業務を行うため、スタッフの正確な勤怠管理が難しくなるというデメリットがあります。
休暇を取りながらテレワークを行うため、業務時間はスタッフによってバラつきが生じます。
業務を終えるために朝から晩まで働いているとなると、せっかくのワーケーションのメリットも得られなくなってしまいます。
正確に勤怠管理を行うシステムや労働時間の調整が必要となるでしょう。
人事評価が困難になる
ワーケーションは、適正な人事評価が難しくなるというデメリットもあります。
オフィスに出社しないという形になるため、仕事に対する姿勢や頑張りなどが見えづらくなるという欠点が挙げられます。
適正な人事評価が行われないことで、スタッフの不満が溜まってしまう恐れもありますので、人事評価のためのシステムを導入することも必要となるでしょう。
ワーケーションのデメリットを解消する導入時のポイント
ワーケーションを導入するにあたり、デメリットに対する策を講じる必要があります。
こちらでは、ワーケーションのデメリットを解消する方法についてご紹介します。
労働時間管理体制を整える
ワーケーションのデメリットとして、正確な勤怠管理が困難になるということがありますので、働きすぎを防止するためにも労働時間管理体制を整えることが重要です。
ワーケーションの効果を得るためには、正確な業務時間をカウントし、必要に応じて有給処理も行わなければなりません。
勤怠システムや出勤・退勤の報告システムなどを導入することで、正確な勤怠管理を行うことが可能となるでしょう。
就業規則の見直しや改定をする
ワーケーション導入にあたり、社内のルール作りがキーポイントとなります。
これまでの就業規則をワーケーションに沿って見直し、改定をする必要があります。
基本ルールや禁止事項、有給の取り決めなどを改めて決めておくことで、万が一の場合にトラブルとならないでしょう。
ワーケーションに参加するスタッフも、安心して取り組むことが可能となります。
情報セキュリティ対策を強化する
セキュリティ面のリスクはワーケーションの大きなデメリットとなります。
そのため、情報セキュリティ対策を強化し、個人情報保護や情報漏洩を防ぐ必要があります。
社外に持ち出し可能となる資料や端末のルール化、社員用にポケットWiFiの貸し出し、ウイルス対策などスタッフへの周知が重要です。
取引先や顧客とのトラブルの元になりかねませんので、対策は徹底しておかなければなりません。
人事評価システムのプロセスを構築する
ワーケーション導入により、適切な人事評価が困難になるというデメリットを防ぐために、人事評価システムのプロセスを構築することも大切です。
スタッフの業務内容や成果を把握し、評価や給与改定に至るまでのプロセスを明確化する必要があります。
適正な評価が得られないことは、モチベーション低下に繋がってしまいます。
人事評価クラウドシステムを導入すると、評価基準やプロセスが見える化し、スタッフの納得度も高めることができるでしょう。
労災の適用範囲を明確に示す
ワーケーションは、滞在先で事故や事件など思わぬトラブルに遭遇する可能性も考えられます。
そのため、労災の適用範囲を明確に示す必要があるでしょう。
同時に、スタッフに対して事故や病気など安全に関する呼びかけも必要です。
テレワークと休暇を同時に取ることになるので、労災のルール決めを予め行うことで、万が一の場合に備えることができます。
まとめ
テレワークをしながら休暇が取れるワーケーションは、導入するメリットも大きい一方で、デメリットもいくつか考えられます。
そのため、デメリットを克服する対策を講じる必要があります。
就業規則やセキュリティ対策、人事評価などワーケーションに沿ってルール作りを行うことで、ワーケーションのメリットを得ることが可能となるでしょう。