近年、日本各地でも増加傾向にある民泊運営。
観光庁は、全国の民泊事業者を管理するシステムを構築しています。
システムを通して、申請・届出がおこなえるだけでなく、事業者の情報を各省庁や自治体と共有しているようですが、一体どのような目的のもとで構築されたのでしょうか?
また、システムの機能についても気になります。
今回は、観光庁が構築した民泊登録システム「民泊制度運営システム」についてご紹介します。
さらに、申請や届出の方法についてもお伝えしますので、民泊運営に興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
観光庁が構築した民泊登録システムとは?
観光庁が構築した民泊事業者の登録システムについてご紹介します。
住宅宿泊事業法に基づく電子的な手続き「民泊制度運営システム」
観光庁が構築した民泊登録システムの名称は、「民泊制度運営システム」と言います。
このシステムは、住宅宿泊事業法に基づく申請や届出などの手続きを電子的におこなうことができます。
民泊運営を始めるにあたって、事業者は申請や届出をおこなわなければなりません。
指定されている行政の窓口に書類を提出する作業が必要ですが、民泊制度運営システムを利用すると自動的に該当先に必要書類が提出されます。
現在、日本国内で民泊運営をおこなう場合は、旅行業法・国家戦略特区法・住宅宿泊事業法から選択し、手続きが必要です。
住宅宿泊事業法は観光庁が管轄しています。
そのため、住宅宿泊事業をおこなう際には、民泊制度運営システムを通して電子的に手続きを完了することが可能となっています。
観光庁が民泊制度運営システムを構築した目的
観光庁が「民泊制度運営システム」を構築した目的についてご紹介します。
違法民泊施設の特定を容易にするため
観光庁がシステムを構築した目的の1つは、違法民泊施設の特定を容易にするということです。
「民泊」というビジネスが普及していくなかで、法律で定められた基準を満たしていない「違法民泊」の増加が問題視されるようになりました。
違法民泊の増加によって、近隣住民とのトラブルや地域の治安悪化、宿泊者の安全確保が難しくなってしまいます。
民泊に関する法律が定められたことによって、ルールを元に違法民泊を取り締まることができるようになりましたが、全てを特定することは困難です。
そこで、基準をクリアしている民泊事業者をデータ管理化するためにシステムが構築されました。
民泊制度運営システムに登録されている民泊事業者の情報は、各省庁や自治体に共有されるため、違法民泊を特定しやすくなります。
国税庁との連携で課税逃れをしている事業者の捜索や、消防庁と情報を共有することで設備調査に活かすことが可能です。
脱税や消防法違反といった悪質な事業者を特定するためには、このような他省庁や自治体と連携が取れるシステムの必要性が高くなっています。
民泊制度運営システムの主な機能
民泊制度運営システムの主な機能は、以下の通りです。
- 民泊の申請や届出をオンライン上で処理
- 入力チェック機能
- 事業に関する行政手続きの情報管理
- 定期報告のオンライン受付
観光庁の民泊制度運営システムは、民泊運営に関する申請や届出をオンライン上で処理することができるため、わざわざ窓口を訪れる必要はありません。
そのうえ、入力チェック機能によって、書類の不備を防ぐことができます。
民泊に関する書類を作成しやすいように、サポート機能が備わっています。
また、民泊運営は定期報告義務があり、各都道府県に対して宿泊者に関する情報(日数や人数、国籍の内訳等)を提出しなければなりません。
民泊制度運営システムでは、この定期報告もオンライン上でおこなうことができます。
定期報告を怠ったり、虚偽の情報を提出した場合は、罰則があり罰金が発生するケースがあるため注意が必要です。
民泊制度運営システムは、定期報告の時期が近づくと事業者にメールが届くサービスがあり、このような危険性を防ぐことができます。
民泊制度運営システムの申請・届出方法
民泊制度運営システムでの手続き方法は、大きく分けて3通りあります。
- 全ての手続きをシステム上で完了
- 一部の書類を紙媒体で窓口に提出
- 申請や届出書をシステムで作成し、書類を窓口に提出
民泊施設の形や規模によって、必要な書類の種類が異なります。
民泊制度運営システム内では、一部受付できない手続きも存在します。
よって、書類作成から必要書類の提出まで全てシステム上で完了できる場合や一部の手続きは窓口で行わなければならない場合があります。
また、システムを利用する場合は、電子署名や証明書または身分証明書などが必要であるため、事前の準備が必要です。
まとめ
観光庁は、民泊事業が普及したことで増加した「違法民泊」の特定を容易にするため、「民泊制度運営システム」を構築しました。
このシステムは、民泊運営において必要な申請や届出などの手続きをオンラインで処理することができます。
入力チェック機能や定期報告の連絡・手続きといった機能も備えられているため、民泊事業者の負担を軽減していると言えるでしょう。
システムを利用して手続きをおこなう方法は3通りあります。
民泊施設の形や規模に応じて、観光庁のシステムを活用してみてください。