ホテルの客室の価格は、みなさんもご存知の通り、1年中同じではありません。
予約をするタイミングによって、価格が変動しています。
しかし、適正価格でない限り、ホテル側は利益が生まれず、利用者もそのホテルを選ばないでしょう。
どのようなシステムを導入して、価格変動を行っているのでしょうか?
今回は、ホテルの価格が変動する理由や価格変動システムについてご紹介します。
ホテルの価格が変動する理由
在庫が繰り越せない産業
ホテルの価格が変動する理由の1つとして、ホテル業界が在庫が繰り越せない産業であるということにあります。
ホテルにとっての在庫は、客室です。
客室が埋まらないということは、ホテルにとって在庫が余っている状態になります。
余っている在庫(客室)は、繰り越すことができません。
そこで、客室を埋めるための工程として、価格変動が必要です。
収益の最大化を図るため
なぜ、ホテルの価格を変動させる必要があるのかというと、収益の最大化を図るためです。
上記で、ホテル業界は在庫が繰り越せない産業であるとご説明致しました。
このことから、ずっと同じ価格で販売していると、得られるはずの利益が得られないという事態が起きてしまいます。
例えば、ゴールデンウィークや夏休みといった需要が増加する時期に安い価格で販売していると、最大化できるはずの収益は得られません。
反対に、あまりホテルの需要が高くない時期に高い価格で販売していると、客室が埋まらず損失となります。
ホテルの価格が変動する理由としては、このような損失を起こさないため、得られるはずの収益を最大化するために必要なことです。
価格変動システムについて
需要と供給に合わせて柔軟に変動
価格変動システムは、需要と供給に合わせて柔軟に価格を変動させる仕組みのことを指します。
レベニューマネジメントやダイナミックプライシングとも言われており、価格を最適化するために用いられています。
ホテル業界は、在庫を繰り越すことができない産業です。
また、ホテルの需要は、季節や時期によって大きく変化するので、その都度価格を変動する必要があります。
過去データや競合データを元に、適正価格を判断します。
AIによる自動化
AIを用いたレベニューマネジメントシステムやダイナミックプライシングシステムによって、自動で適正価格の判断を行います。
価格変動を従業員の経験や判断のもとで行うと、担当従業員がいないとできない業務になってしまい、効率が良くありません。
また、担当従業員が抱える負担が大きくなってしまいます。
そのため、需要と供給に合わせた価格変動を自動で行えるシステムを導入するホテルが増加しています。
価格をAIによって自動で調節することができるので、人手不足の問題を抱えるホテル業界にとって、メリットが大きいです。
また、適正価格を自動で判断できるので、機会損失を防ぐことができ、収益の最大化を図ることができます。
レベニューマネジメントシステムとダイナミックプライシングシステムの違い
ホテル業界で価格変動のために導入されている、レベニューマネジメントシステムとダイナミックプライシングシステムの違いについてご紹介します。
レベニューマネジメントシステム
レベニューマネジメントシステムは、正確な需要の予測を行うシステムです。
このシステムをホテルに導入することで、客室価格を適正価格に変動することが可能です。
また、データをもとに在庫数を変化させるなど、販売方法も変動させ、経営戦略を導出することができます。
過去データや競合データを元に、未来の正確な需要を予測できるシステムです。
ダイナミックプライシングシステム
ダイナミックプライシングシステムは、価格を変動させることを前提としたシステムです。
このシステムをホテルに導入することで、固定価格で販売することで生じる機会損失を防ぐことができ、収益の最大化を図ることが可能です。
価格を変動させるという点では、ダイナミックプライシングシステムだけでも充分であるように思えるでしょう。
しかし、レベニューマネジメントシステムと併用することで、経営戦略を導出することができ、需要に応じた価格変動を行うことができます。
価格変動システム導入による宿泊者のメリット
上記のような、価格変動システムを導入することで、ホテル側だけでなく宿泊者にとってもメリットがあります。
それは、同じホテルであっても安い価格で利用できることです。
ホテルの客室価格は、価格変動システムにより、需要が高い時期は価格が高く設定されます。
また、時期が近づくにつれ、価格が変化します。
この価格変動システムの特性を理解することで、お得な価格でホテルを利用することができます。
まとめ
ホテル業界において、価格変動システムは需要と供給に応じた販売方法を導出できる重要なツールです。
ホテルの客室価格を変動させることで、機会損失を防ぎ、収益の最大化を図ることができます。
これまで、従業員の経験に基づいた業務となっていた価格設定の業務が、AIを用いたシステムを導入することで、自動化でき、省人化が可能です。
長年、人手不足の問題で悩まされていたホテル業界にとって、大きなメリットとなっています。
宿泊者にとってもメリットがありますので、ホテル運営に欠かせないシステムと言えるでしょう。