【意外にも簡単?】住宅宿泊事業法における届出について

「旅館業の許認可は難しいし、なかなか認可がおりないみたい。住宅宿泊事業法なら届出だけだから、簡単なのかな。」

「届出はどこに対して行うのだろう。民泊の経営を考えているけど、何回もする事ではないし、届出を代行してくれる業者もあるのだろうか?」

2018年に制定された、住宅宿泊事業法。旅館業法の許認可と違って、届出を行う事で民泊を開業できるため、検討している方も多いはず。

しかし、法的な届出って面倒なことも多そうだと感じていると思います。

この記事では、少しでも住宅宿泊事業法の届出をスムーズに終えられるよう、読み進めていただけたらと思います。

 

住宅宿泊事業法 届出状況

観光庁によると、住宅宿泊事業の2021年10月現在での届出件数は​​29989件

平成30年6月では、約2000件だったことからも、15倍近い件数の届出がなされていることがわかります。

余談となりますが、届出件数の多い都道府県順位は下記の通りです。

都道府県

1位  福岡県

2位  沖縄県

3位  北海道

 

保健所設置市

1位 大阪市

2位 札幌市

3位 那覇市

都道府県と保健所設置市の順位には若干の相違がありますが、盛んに民泊の届出・登録が行われている地域も下の図より参考にしてください。

 

住宅宿泊事業法の届出先は?

住宅宿泊事業を開始するためには、住宅宿泊事業届出書に必要事項を記載の上、民泊経営を営もうとする住宅の所在地を管轄する都道府県知事に届け出る必要があります。

また、届出は原則として民泊制度運営システムにて行います

 

届出前の確認事項

住宅宿泊事業を届出するには、以下の確認事項が必要です。

  • 届出者が賃借人及び転借人の場合は、賃貸人及び転貸人が住宅宿泊事業を目的とした賃借物及び転借人の転貸を承諾しているかどうか。
  • マンションで住宅宿泊事業を営もうとする場合には、マンション管理規約において住宅宿泊事業が 禁止されていないかどうか。

(補足)規約に禁止されていない場合でも、管理組合において禁止の方針がないかの確認が必要。

届出は民泊運営を始める前日までに行えば大丈夫です。

 

住宅事業者の業務

住宅宿泊事業者には、事業を行う上で様々な事業措置を行う必要があります。

2018年に急速に増加した民泊の安全面・衛生面への一定のルール化が必要と声が上がりました。 法的な許可を受けていない、「ヤミ民泊」と区別するためにも事業措置をはかるのは必須の項目となります。

  • 宿泊者の衛生の確保
  • 宿泊者の安全の確保
  • 外国人観光客である宿泊者の快適性及び利便性の確保
  • 宿泊者名簿の備付け 等
  • 周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項の説明
  • 苦情などへの対応

また、住宅宿泊事業を行うには、届出住宅ごとに下記の標識の掲示が必要となります。標識は、事業を実施している間は継続した掲示が必要です。

都道府県知事などへの定期報告

住宅宿泊事業者は、届出住宅ごとに毎年2月・4月・6月・8月・10月・12月の15日までに、下記事項を報告する必要があります。

  • 届出住宅に人を宿泊させた日数
  • 宿泊者数
  • 延べ宿泊者数
  • 国籍別の宿泊者数の内訳

コロナ感染によるパンデミックの影響で、これら定期報告の義務が一層強化されている傾向になると考えられます。

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消防法令適合通知書

都道府県知事は、民泊を経営しようとする建物が消防法令に適合しているか、住宅宿泊事業の適正な運営を確保するために、消防法令通知書の提出を求められます

 

宿泊者名簿の備付け・提出の義務

住宅宿泊事業者は、宿泊者名簿の備付けを行う必要があります。

外国人のゲストが多く利用する民泊などの簡易宿泊所では、コロナウイルスの感染源の追跡・テロリスト対策のためにも、宿泊者名簿の備付けは重要なものとなります。

現在ではチェックインシステムとして、必ずしも対面式である必要はありません。チェックイン専用の端末の配置や、携帯電話からアクセスできるアプリを導入し、非接触型のチェックインシステムも数多く導入されています。

また、遠隔操作による本人確認を行う場合には、以下の2点を満たしている必要があります。

  • 宿泊者の顔及び旅券が画像により鮮明に確認できること。
  • 当該画像が住宅宿泊事業者や住宅宿泊管理業者の営業所等、届出住宅内又は届出住宅の近傍から発信されている事が確認できること。

また、作成した宿泊者名簿は3年間の保存が求められています

 

届出の代行

住宅宿泊事業法に伴う届出を代行してくれる、業者・行政書士の存在も忘れてはいけません。

これらの業者は、民泊経営を行う上でのノウハウを専門的にもっているため、様々な案件に対応してきた実績があります。

物件の選定なども行うため、すでに所有の建物で民泊経営を考えている方には必要のないサービスも含まれる事も考えられます。

しかし、住宅宿泊事業の届出などの法的な対応を開業時には必要となってくる事からも、利用や相談の検討をすることをオススメします。

 

まとめ

住宅宿泊事業法の届出の方法や、必要な住宅事業業務を解説してきました。

必要な手順は多岐に渡りますが、1つ1つクリアしていくことで、開業できる日が近づいてきます。

しっかりとした経営を考えるためにも、参考にされてください。