「民泊を経営をしているけど、カフェも経営してて受付作業に手がまわらない。」 「民泊で受付するだけのために、人件費をかけたくない。」
簡易宿泊所を経営するにあたり、受付システムをしっかりと構築することは経営上において重要な課題。 そこで提案するのは、受付を無人化とするセルフチェックインシステムの導入です。
導入を検討された事があった方でも、改めてセルフチェックインシステムの優位性を感じると思います。
この記事では業務効率化に目をむけて、セルフチェックインシステムによって改善できる具体例をご紹介します。
セルフチェックインシステムとは?
セルフチェックインシステムとは、ホテルや旅館などの宿泊施設を利用する際に行うチェックイン・アウト作業を無人化することができるシステムのことです。
ゲストは、インターネットを通して予約をし、到着した際にアプリやQRコードをかざすことでチェックインが完了します。
また、別のシステムとの連動が可能であり、鍵の受け渡しや精算業務、予約情報の自動取得などを全てシステム上で行えます。
完全にフロントが無人、もしくは宿泊施設にスタッフがいなくてもゲストを受け入れることが可能です。
多くのホテルや旅館のフロントで導入が進んでおり、民泊業界も同様に無人でチェックインができるシステムが続々と導入されています。
セルフチェックインシステムのメリット
人件費・人的コスト削減
従来の受付フロント業務では、宿泊者名簿の正確な記載が必要で、ゲストに対して本人確認を多くの施設が行っています。
- 宿泊開始日
- 開始時刻
- 宿泊終了
- 終了時刻
- 宿泊日数
etc.
宿泊者名簿の記載事項は多く、全て網羅した説明が必要があると、多くの事業者が感じると思います。
しかし、チェックインの目的が、名簿の記載と保存にあるため、法的に満たすICT(情報通信システム)導入により、多くの説明が必要としたフロント受付業務を簡略化する事ができるのです。
これにより業務内容が多岐にわたるスタッフの負担が減り、人的確保を減らす事によって、人件費削減へと繋げることができます。
民泊だけでなく、ホテルや旅館などに導入した場合も同様に人件費や人的コスト削減が実現します。
フロントスタッフがほぼフロントにいなくても、ゲストを迎え入れることが可能です。
宿泊業界は、業務量が多く人手不足が問題視されています。
フロント業務が効率化されることで、スタッフの負担が軽減され、企業全体のメリットへと繋がるでしょう。
また効率化をはかったことで、ゲストに対するサービスの提供もはかられ、顧客満足度が高まる効果も発揮できます。
ペーパーレス化
民泊を含め、宿泊事業を運営する期間が長くなればなるほど、宿泊者名簿の管理も大変な業務となります。
名簿の量が増えると、それだけ保管する場所も必要です。
紙のデータからクラウド上へデータ移行をする場合もあるかもしれませんが、非効率的な方法となります。
そこで、セルフチェックインシステムを導入することで、ペーパーレス化が実現します。
また、予約情報を自動取得できるので、紙の名簿を管理する必要がなくなります。
ペーパーレス化は環境の保護へと繋がる活動です。
積極的に取り組むことで、イメージアップにも繋がるでしょう。
コロナ感染症対策
非接触によるセルフチェックインシステムは、コロナ感染対策に対しても、一定の効果が発揮されます。
- フロント業務によるゲストとの接触を避けることができる。
- 受付するゲストは、入室・退室時間が重なりやすく、密な環境化を作りやすい。セルフチェックインを導入すると、フロントでの業務が少なくなり、ゲスト同士の順番待ちなどによる、密な環境を避けることができる。
感染症対策において、接触の機会を減らすのは周知の通りかと思います。
チェックイン操作に対する不安も、遠隔にて操作方法を伝える環境下を作り出すことで問題も解決できるでしょう。
現在ではむしろ密な状態を作ることで、コロナ感染症に敏感になっているゲストに不安を煽ってしまうことも考えられます。
セルフチェックインシステムを導入することで、三密になる場面をなくすことができるので、ゲストの不安を取り除くことができます。
また、人と接触する機会がなくなるので、従業員が抱く感染症拡大の不安も取り除けるでしょう。
チェックイン・アウトの待ち時間の短縮
セルフチェックインシステムの導入は、ゲストにとっても大きなメリットがあります。
コロナ感染症対策はもちろんですが、チェックイン・アウトの時間を短縮することができます。
従来の方法は、別のゲストがチェックイン・アウトを終えるまで待機しなければなりません。
ゲストが手書きで名前や住所などを記入し、宿泊する日数や人数をフロントで確認するとなると、一人ひとり時間が掛かってしまいます。
そこで、セルフチェックインシステムを導入すると、スマートフォンで簡単にチェックイン・アウトができるので、作業が簡略化します。
ゲストは早く客室に入ることができ、一緒に来ている友達や家族を待たせずに済むので、より有意義に旅行を楽しむことができるでしょう。
システム導入考察
実際にセルフチェックインシステムを導入するにあたって、運営コストや宿泊者台帳の管理も考えていかなければならない問題です。システム構築によるメリットや問題点が見えれば、導入する上での検討材料とります。
導入コスト
簡易宿泊所などによっては特に、導入コストが気になる点です。システムを導入する事により、人件費が削られても、導入コストやランニングコストがかさむと、結果的なコスト削減効果を感じにくいはず。
現在提供されているサービスとしては、1室あたりの月額利用料が1500円から検討できます。
安価でもビデオ通話での本人確認や、チェックインサインシステムなど、サービスも充実しているので、民泊などの簡易宿泊所にとっても、安心した価格設定となっています。
ITツール導入よる補助金の有無
国・自治体では、コロナ感染症に対する様々な補助金が出ているようです。
コロナウイルスと共存した社会となりつつ現在。非接触型のサービスを提供する上でも、公的資金を導入することは、政府・自治体に向けて、経営の透明化がはかれます。
システム導入をはかる上で、積極的に活用したい所です。
また、国・自治体によって補助金の額に上限が設けられています。今後補助金を打ち切るなどの事も考えられるため、早めに問い合わせをおこない、検討する事をお勧めします。
セルフチェックインシステムの鍵の受け渡し方法
フロント業務が無人化することで、ゲストへの鍵の受け渡し方法がどうなるのか気になりますよね。
セルフチェックインシステムを導入した場合、大きく分けて4つの鍵の受け渡し方法が考えられます。
それぞれの方法のメリット・デメリットも併せてご紹介します。
フロントスタッフが手渡す
1つ目の方法は、チェックイン・アウトはセルフチェックインシステムで行い、鍵の受け渡しはフロントスタッフがゲストへ直接手渡しで行う方法です。
物理キーを採用しているホテルや旅館、あるいは民泊施設の場合は、鍵の受け渡しが確実に行えるかが不安要素となるでしょう。
直接手渡しをすることで、確実にゲストへ鍵を渡すことができ、返却も安心です。
しかし、鍵を渡すスタッフが常駐している必要があります。
セルフチェックインシステムを導入すると、人件費や人的コスト削減の見込みがありますが、鍵が直接手渡しとなるとあまり効果はないと言えるでしょう。
キーボックスや郵便受けで受け渡す
2つ目の方法は、キーボックスや郵便受けに鍵を付け、非対面式で鍵を受け渡す方法です。
この方法は、戸建てやマンションなどの1室を民泊施設として運営する場合に用いられやすいでしょう。
ドア付近にキーボックスを設置、またはエントランスの郵便受けを鍵を保管する場所として物理キーの受け渡しを行います。
メリットとしては、導入の際のコストが低いということや、ゲストが鍵の受け渡し場所が分かりやすいという点が挙げられます。
しかし、不正侵入や鍵の複製などセキュリティ面での不安も少なくありません。
また、鍵の返却忘れや持ち帰られてしまうというリスクも考えられます。
セルフチェックシステムを導入し、鍵を非対面式で受け渡しができるので、ゲストとホストの接触機会は減りますが、リスクに対する安全策が求められます。
無人受け渡し専用ボックスの活用
3つ目の方法は、無人受け渡しが行える専用ボックスを設置する方法です。
フロントやロビーなどに設置しておくことで、ゲストが各キャビネットから物理キーを受け取り・返却ができます。
セルフチェックインシステムと連動できるサービスを導入することで、無人で鍵の受け渡しが実現します。
これまで負担となっていた、早朝や深夜のチェックイン、鍵の受け渡し業務も改善されるでしょう。
導入するにあたって、既存の物理キーをそのまま使用できるということもメリットとして考えられます。
また、履歴も確認できるので、誰がいつ鍵を取り出し、返却したのかを把握できます。
ただし、返却忘れや鍵の複製のリスクが心配です。
セキュリティ面が完全ではない点がデメリットとなるでしょう。
スマートロックの導入
最後の方法は、IoTツールである「スマートロック」の導入です。
スマートロックとは、専用機器を設置したドアに、Wi-Fiに接続したスマートフォンを使ってオンライン上で解錠できるシステムのことを指します。
セルフチェックインをした後に、自動で客室の鍵となるURLや暗証番号、QRコードなどがスマートフォンに送信されます。
物理キーの受け渡しをせずに、スマートフォンで客室に入ることができます。
また、物理キーは必要なくなりますので、鍵の返却忘れや複製のリスクもありません。
スマートロックを導入することで、鍵の管理業務が効率化されます。
さらに、客室を出入りする時に、毎回物理キーを持ち歩かなくて良いので、ゲストにとっても大きなメリットであると言えるでしょう。
しかし、全てのドアの数のスマートロックが必要であることや、取り付け工事が必要となります。
導入時にコストが掛かったり、工事が必要となることが多少のデメリットとなりますが、一度取り付けると多くの場面でメリットが得られます。
ホテルや旅館、民泊など宿泊施設のスタイルや規模関係なく、導入できるシステムです。
完全無人のチェックイン・アウトに近づけたい場合は、セルフチェックインシステムと併せてスマートロックを導入する方法が一番効率的でしょう。
システム導入によるデメリットはあるのか?
セルフチェックインシステムを導入する上で、今まで行ってきたフロント業務違いに戸惑うことも考えられます。考えられる問題点として、
- 接客の希薄化につながり、満足のいく説明を受けたと感じにくい。
- 無人化になったフロントは、高齢なゲストにとっては不安を煽ることも。また端末などの操作方法も難しい恐れあり。
これらの問題も考えられます。
ホテルや旅館を利用するにあたって、高いレベルのサービスを求める方も多いでしょう。
海外からのゲストも、日本のホテルや旅館スタッフの「おもてなし」サービスに感動する方も多いです。
フロントに誰もスタッフがいないとなると、これまでのホテルや旅館のサービスに慣れていた方にとっては少し不安を感じることもあるかもしれません。
しかし、現在システムを導入した事で、目新しいサービスにゲストが反応し、セルフチェックインする事に興味関心をもって取り組んでくれるメリットもあげられます。
また、システムの導入により、通常の接触方のチェックインを継続している宿泊所との差別化がはかることができ、ゲストの宿泊する動悸づけに繋がることもあるでしょう。
まとめ
コロナ感染症によるパンデミックを経験して、セルフチェックインシステムは今後なくてはならないサービスに なりつつあります。
鍵の受け渡しに関しても、物理キーを直接手渡すだけでなく、キーボックスや専用ボックスを設置する方法もあります。
さらには、スマートフォン一つでチェックイン、鍵の解錠ができるスマートロックというシステムも存在します。
セルフチェックインシステムにスマートロックのようなシステムを連動して導入することで、より無人でチェックイン・アウトができる環境になるでしょう。
参入障壁が高い点も考えられますが、補助金などを活用した導入はいつ終了するか分かりません。
また、セルフチェックインシステムが実用化してしまった後では、ゲストにとってフロントでのチェックインをする宿泊所を避けてしまう事も考えられます。
経営する宿泊所に見合ったシステムを検討し、アフターコロナの打開策として導入を検討されてみてください。