観光DXとは何か?事例もご紹介!

新型コロナウィルスの感染拡大により、多方面の業界で影響が出ています。特に観光業界では、その影響を直に受けており、売上が急激に落ち込んでいます。そういった状況の中で、光となるものがあります。それは「観光DX」というものです。ここでは、観光DXがどういったものなのか、観光DXの事例などをご紹介していきます。

 

観光DXとは

観光DXのDXとは、「デジタルトランスフォーメーション」と言い、デジタルの技術を活用して、現在あるサービスの品質を向上したり、課題の解決を目的としたりしています。観光DXはまだあまり日本では浸透していませんが、日本の観光業界を立て直すためには必要不可欠なものと捉えられています。

 

観光DXの主な技術

観光DXの主な技術として、5G、Wi-Fi、IoT、位置情報、生体認証、仮想現実・拡張現実、人口知能(AI)、ロボット技術、ビッグデータ、自動運転が挙げられます。

このような技術を活用していき、消費者に対して訪問する場所の選択肢を与え、訪問する場所のルートの案内、大量の高速なデータ処理による予測、消費者の意思決定の支援などを行うことが可能になります。

 

観光DXの導入の問題点

観光DXの導入の問題点として、取り入れることに対してハードルが高いということが挙げられます。個人のパーソナルな情報を守るための意識が高まる一方で、個人のパーソナルな情報を守るための対応が求められますが、その体制はあまり整っていません。

また、観光業界の関係者の中でも、観光DXの有意義性や効果に対しての理解が不足しており、公的な支援がありつつも、うまく使いこなせずにいるといった現状があります。

政府も、従来のインバウンドに重きを置く助成の方針からあまり変わっておらず、自治体に対して観光DXの必要な助成基盤を整えることができていません。

 

 

観光DXの事例

鹿島デジタルトランスフォーメーションコンソーシアム

サッカーの鹿島アントラーズの本拠地である茨城県鹿嶋市では、観光DXの技術を使い、どれくらいの混雑か、どれくらい渋滞しているのかを可視化できるシステムを開発しました。それにより、混雑や渋滞の回避を目指しています。

2021年の秋に実施した実証実験では、3試合を対象にして、ダイナミックプライシング(モノやサービスの価格を設定する方法のひとつで、需要によって価格を変動させる方法)を取り入れたスタジアム内の店舗にて、混雑の様子に合わせて価格を変動し、混雑を回避させるという効率的な販売を目指しました。

その結果、3度の販売のどれも価格の変動は見られず、最安値で提供することができました。混雑を回避して、時間帯に関係なく、人が訪れるという環境を作り出せたのです。

 

世界へ発信する屋外周遊型XRテーマパーク開発プロジェクト

神奈川県横浜市では、観光DXを使い、XRバスツアーを実施しました。

赤レンガ倉庫や横浜中華街といった観光名所がありながら、インバウンドの需要の引き込みが遅れていたという課題を念頭に置いて、詳細な満足度の測定によって、収益化のモデルを立て直すことを目的としています。2度の実証実験では、どちらも高い満足度を得ることができました。

 

鶴巻温泉「陣屋」

神奈川県にある鶴巻温泉「陣屋」は、一時期巨額の赤字を出しており、深刻な経営危機に陥っていました。しかし独自のDX「陣屋コネクト」を開発し、なんと数年で赤字から黒字へと戻したのです。

「陣屋コネクト」で実現したDXは、待機ロスをなくすために車や利用客の入退場を察知するIoTの導入、食品ロスと廃棄ロスを無くすために、宿泊客のデータをもとにして、宿泊者の好みに合わせた料理の提供、接客・清掃・調理場といった各業務のデータ化、朝礼や夕礼・清掃指示や引き継ぎにチャットの導入、といったものです。

今ではクラウド型ホテル・旅館管理システム「陣屋コネクト」として同業他社に販売し、利益を得ています。

 

富士山エリア観光DX革新コンソーシアム

山梨県富士吉田市などの富士山周辺では、観光DXを使い、「手ぶら観光プラットフォーム」の開発を目指しています。周遊eチケットを使って、交通や支払いの利便性を高めることで、周辺での回遊性を高めるという試みです。

 

コンフォートデジタルツーリズム事業化推進協議会

福岡県北九州市では、観光DXを用いて、エリア全体をひとつのテーマパークのように機能させる「エリアテーマパーク化手法」の開発を目指しています。

自動の運転に加えて、その人の趣味嗜好や混雑具合に合わせて、観光・物販サービスを提供するAIコンシェルジュを実現させ、高齢の方に優しい観光サービスを作る予定です。

 

まとめ

これまで、観光DXとは何か、観光DXの事例などを挙げてきました。新型コロナウィルスの感染拡大が収まっても、観光DXは日本の観光にはなくてはならないものとなるでしょう。

改めて、地域の魅力や資源を見直し、最先端の技術を駆使して、新しいコンテンツの開発が必要です。