【民泊を始めたい人必見!】 民泊事業の制度・運営システムをわかりやすく解説

2020年初頭より、コロナウイルスによるパンデミックで観光業は多大な影響を受けました。コロナ以前は民泊事業をはじめとした簡易宿泊所を不動産投資の一環として注目を浴びていたことはご存知でしょうか??

なぜならホテルや旅館と違って、個人や小さな法人などが、本業を持ちながら民泊代行業者などを通じて気軽に始めやすいというメリットがあったからです。

ここでは、アフターコロナ事業として再注目とされる、民泊事業の制度と運営システムを解説していきます。

 

【民泊のための制度】住宅宿泊事業法とは??

【民泊のための制度】住宅宿泊事業法とは??_イメージ

住宅宿泊事業法は、2018年に急速に増加していた民泊などの宿泊所に対して、安全面・衛生面への一定のルールが必要と声が上がりました。

また、騒音やゴミ問題などの地域周辺への影響が大きく、法的な許可を一切受けてない「ヤミ民泊」と言われる施設もあった事から、健全な民泊経営をはかるためにも制定されたようです。

この制度の特徴としては、180日を超える宿泊者へのサービスの提供が制限されている点です。

年間の半分の日数でしかサービスを提供できないことから、低価格帯で民泊を営業するには稼働率を高める必要があります。

利益率をあげるための稼働率を制限されてしまったため、民泊事業者は旅館業法にも影響のないマンスリーマンションタイプへの変更や、一時的にレンタルスペースとして貸し出し、営業している民泊業者もあるようです。

 

住宅宿泊事業法の対象となる3つの事業者

住宅宿泊事業法では、「住宅宿泊事業者」「住宅宿泊管理業者」「住宅宿泊仲介業者」という3つの種類の事業者が対象とされています。

それぞれに対して、役割や義務等が定められています。

住宅宿泊事業者

住宅宿泊事業者は、申請や届出の住宅を利用して民泊事業を行う業者のことを指しています。

いわゆる、民泊ホストがこの住宅宿泊事業者に該当します。

住宅宿泊事業者として事業を開始する場合は、都道府県知事等に届出・申請を行う必要があります。

住宅民泊事業を適切に行うことが主な役割です。

その役割が正しく遂行されるための措置として、10項目の義務が定められています。

宿泊者の衛生や安全の確保が充分に行われるように、定期的な清掃や避難経路の設置が義務付けられています。

また、宿泊者に対して地域のゴミ処理や騒音防止などの必要事項の説明、苦情などの対応も住宅宿泊事業者の義務となります。

ただ、届出や申請を行い、民泊する部屋の管理を行えば良いというわけではありません。

宿泊者や近隣住民への配慮、各自治体への報告なども含まれますので、細かく役割や義務に関する内容を把握しておく必要があります。

住宅宿泊管理業者

住宅宿泊管理業者は、民泊ホストから民泊の管理を請け負う民泊代行業者になります。

住宅宿泊管理業者として事業を開始する場合は、国土交通省の登録が必要です。

住宅宿泊事業者は、住宅宿泊管理業者に対して住宅管理を委託することが義務付けられています。

住宅宿泊管理とは、主に近隣住民とのトラブル対応や宿泊者本人確認・名簿作成、カギ管理・ゴミ出しに関するルールの告知などとなっています。

また、賠償保険の加入や行政当局への情報提供なども業務の一部です。

管理業者として登録するためには、要件をクリアしている者が認められることとなります。

個人の場合は、「宅地建物取引士」「管理業務主任者」「賃貸不動産経営管理士」のいずれかの登録を受けている者、あるいは住宅の取引または管理に関する契約実務を伴う業務に2年以上従事した者です。

法人の場合も登録が可能ですが、同じように要件が定められています。

「宅地建物取引業者」の免許、「マンション管理業者」「賃貸住宅管理業者」のいずれかの登録を受けている法人、または上記の個人で登録するための要件を満たしている者を従業者として有する法人です。

民泊ホストにとって、あらゆる知識を保有する管理業者の存在は非常に大きいでしょう。

ただし、誇大広告の禁止や委託を受けた事業者に対する禁止事項も定められていますので、住宅宿泊業を営むにあたって注意事項も確認しておく必要があります。

 

住宅宿泊仲介業者

住宅宿泊仲介業者は、民泊物件を探しているユーザーに対して仲介を行ったり、民泊オーナーとユーザーの代理契約の締結や仲介を行う事業者です。

民泊物件を紹介しているサイトや民泊マッチングサイトも、住宅宿泊仲介業者に該当します。

大手の「Airbnb」もその一つです。

住宅宿泊仲介業者として事業を開始する場合は、観光庁長官の登録が必要となります。

住宅宿泊事業法に基づいて申請・届出が行われた届出住宅のみが取扱可能の物件です。

旅館やホテルなどの住宅以外の物件に対して、仲介業者として携わるためには、旅行業法に基づく登録が必要となります。

その場合、旅行業者としての位置付けに変化します。

仲介業者は、業務に関する約款を定め、実施前に観光庁長官への提出が義務付けられています。

また、業務に関する料金を定め、営業所や事業所での提示、またはインターネット上で公開を行わなければなりません。

さらに、契約締結前に宿泊者に対して、民泊物件の情報やサービスに関する内容などを書面にて交付する義務もあります。

適切な住宅宿泊事業が行われるために、仲介業者に対しても大きな役割や義務が課せられています。

 

【申請を通すのは難しいけどメリットあり?】旅館業法との違い

旅館業とは「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義されています。

結論として、住宅宿泊事業法の違いは、年間180日の宿泊制限がない点です。制限が解除されることで、年中ゲストの宿泊も可能となり、運営上の稼働率が高まります。

また、マンスリーマンションやレンタルスペースなどの他のサービスに転換する必要もなく事業を展開できます。

旅館業の運営は、都道府県の条例で定める換気・採光・照明・防湿・清潔等の衛生基準に従和なければなりませんが、2018年の新法(住宅宿泊事業法)が制定された際に、旅館業法も制限の緩和がはかられ、導入しやすくなったようです。

 

開業するにはどっちの許可を受けた方が良いのか??

開業するにはどっちの許可を受けた方が良いのか??_イメージ

ここまで住宅宿泊事業法と旅館業法について書いてきました。せっかくの宿泊施設を所有し、民泊事業として投資を考える方なら、旅館業法での許認可を受けて、事業を開始することをおすすめします。

旅館業法の許認可を受けるには、都道府県へ許可申請を行い、許認可を受ける必要があります。

この許認可を受ける上で、一番のハードルは消防法による消防設備の設置義務がある点です。設置する上でも、ある程度の初期投資が必要となります。

また、設置場所の検討など専門家の意見を取り入れなければならないため、時間と手間を必要とします。

 

民泊仲介業者・代行業者とは??

民泊仲介業者・代行業者とは??_イメージ

民泊において、物件を選定するのは重要な課題です。しかし、物件の選定を行う上で一般的な不動産業者では、仲介することを拒否する傾向があるようです。

断る理由としては以下の通りです。

  • 民泊は近隣住民とのトラブルを起きやすいため。
  • 民泊では不動産仲介業者が提携している火災保険や、保証会社との提携が難しい。

そのため民泊事業を専門とする、民泊仲介業者が存在します。民泊仲介業者は、自社サイトを保有し、民泊専用の物件を多数保有していることから、物件探しには心強い業者となりそうですね。

また、物件を選定した後に、民泊運営を代行しくれる、民泊代行業者というものがあります。民泊代行業者は、様々な案件をこなしてきた事からも、運営に対する知識が豊富です。

住宅宿泊事業法での届出や、旅館業法の許認可を受ける申請書類などを揃えるだけでも、今から民泊経営を始めようとする人には、かなりのハードルが高いことが考えられます。

また、消防法令に基づいた図面の作成や、消防法令適合通知書なども発行・受託される必要があるため、専門家の存在として、代行業者は必須の要素となりそうです。

 

「民泊制度運営システム」を活用しよう

住宅宿泊事業法に基づいて民泊サービスを開始したい場合にも、各自治体に届出や申請が必要です。

また、宿泊日数等を定期的に報告する必要もあります。

しかし、これらをわざわざ窓口に出向いて手続きを行うことは、少し面倒だと感じてしまいますよね。

そのような方には、「民泊制度運営システム」の活用をおすすめします。

こちらでは、「民泊制度運営システム」の概要や機能、申請・届出方法についてご紹介します。

 

民泊制度運営システムとは?

「民泊制度運営システム」とは、住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく届出や申請、報告等の手続きを電子的に行うことができるシステムです。

国土交通省が運営する「民泊制度ポータルサイト」にて案内されていますので、そちらから確認をしてみてください。

これから民泊を事業として始めようとする方や、定期報告を行う際に活用することができます。

自宅のパソコンやタブレットで、民泊制度運営システムを介して手続きが可能となるため、わざわざ窓口に出向く必要がなくなります。

民泊に興味があるけど、手続きが難しそうという方の不安を取り除くことができるでしょう。

 

民泊制度運営システムの主な機能

民泊制度運営システムでは、主に次の4つの機能が搭載されています。

  1. オンライン上での届出・申請等の手続き
  2. 入力チェック機能
  3. 事業に関する行政手続きの情報管理(過去の手続きを含む)
  4. オンライン上での定期報告(住宅宿泊事業者の場合)

上記で述べた通り、オンライン上で届出や申請、定期報告の処理が可能となっているため、窓口に出向く必要はありません。

また、入力チェック機能が搭載されているので、不備のない書類を作成できます。

パソコンやオンラインでの手続きに慣れていない方も安心です。

住宅宿泊事業者は、2ヶ月ごとに宿泊人数や宿泊者の国籍、該当宿泊日等を実績として報告する義務があります。

民泊制度運営システムを通して、定期報告を行うことが可能です。

万が一、定期報告を怠ったり、嘘の報告を提出してしまうと、罰則が適応されてしまいます。

住宅宿泊事業法(民泊新法)に、「罰金30万円以下が適応される」という旨の記載もありますので、注意しておかなくてはなりません。

民泊制度運営システムは、わざわざ期日までに窓口に行かずに、自宅から定期報告の内容を作成・申告ができるので、活用するメリットが大きいです。

 

申請・届出方法について

民泊制度運営システムでの申請・届出は、次の3つの方法で行うことになります。

  1. 申請・届出書の作成、添付書類を含めた必要書類の提出を全てシステムを介して行う方法
  2. 申請・届出書の作成、添付書類を含めた必要書類の提出をシステムを介して行い、一部の書類を紙媒体で窓口に提出する方法
  3. 申請・届出書の作成をシステム上で行い、書類を紙媒体で窓口に提出する方法

住宅宿泊事業を行う場合は、紙媒体の書類の提出先が、保健所や環境局など各自治体によって異なります。

届出・申請を行う前に確認しておきましょう。

また、システムを介して申請・届出書を作成する際には、電子署名や電子証明書、身分証明書が必要です。

民泊制度運営システムで必要になる電子証明書は、マイナンバーカードが対象となりますので、システムを利用して手続きを行いたい場合は、事前に取得しておくとスムーズです。

もしも、民泊制度運営システムを一切使用せずに手続きを行った場合でも、届出後に利用者登録することで、定期報告等での活用ができるようになります。

ただし、一部、システム上では手続きできないものもありますので、必要に応じて活用方法が変わってくるでしょう。

 

まとめ

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民泊事業はインバウンド観光事業として一番注目される宿泊形態です。

コロナ感染が蔓延化した2020年以降は、海外のゲストの入国が制限され、現状は厳しい現状が続いています。しかしその厳しい現状だからこそ、以前より民泊可能な物件が増加し、比較的安価な価格交渉もできることでしょう。

開業に伴う制度を事前に学ぶことは、本格化するアフターコロナに向けた取り組みとして先行者有利な状況を、きっと作ってくれます。

民泊代行業者などを利用し、個人や小さな法人でも参入できる民泊経営を検討されてみてください。